いまここ

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天の川に想う回想(注:大部分がフィクションです)

平成に生まれた星という男は、気がつけば、貧乏、そして病気になっていた。

貧乏と病気は人生の迷子になったようなものです。

その迷路の中で、星は焦っていた。焦りながら、一生懸命に出口を探してみても、

一向に見つからない。

力の限り、走ってみても出口にはたどり着かない。

そして、絶望していると、さらには霧まで出てくる始末。

一体、どうしたらいいのだろう。

「今ここに感謝せよ。」

星の頭に言葉が鳴り響いた。

昔、どこかで聞いた言葉だ。

星はその言葉に従うことにした。

迷子になっているその場所で————二体の骸のすぐそばで————

迷っているその真っただ中で————焦りと不安、そして骸のせいで

気持ち悪くなっているその瞬間————に感謝することにした。

すると近くに小さな花が咲いていたことに気がつきました。

街灯がささやかにもきれいに輝いていることに気がつきました。

実は今、自分が立っているこの場所が出口だったのです。

それから、星はすぐに光ある道を歩けたわけではありません。

迷子になるたびに感謝をして、そのつど迷路を抜け出しました。

迷路の抜け出し方がうまくなると、今度は、大きな沼に足を取られてしまいました。

全てを飲みこんでしまうような大きな沼です。

その大きな沼はとても力が強く、星は足を一本もぎとられてしまいました。

身体が沼に沈みゆく中、絶望すれば、よけいに深みにはまる。

足をもぎとられているのにもかかわらず感謝をしないといけないだなんて。

自分の心はもうれつに反対する。

しかし、反対すればするほど、身体は沼に沈んでいく。

そんな時、目の前にきれいで繊細な女の子の手が現れた。

星はわらをもつかむ思いでその手をにぎった。

その手の主を見てみると、その主も身体が沼につかっている。

胸元にはしおりという名前が書かれている。

その女の子はとても暗い目をしている。

それでも星は嬉しかった。

こんな自分に手を差し伸べてくれる人がいたのが嬉しかった。

二人はお互いに感謝をした。

感謝することができた。

その瞬間、星は自分のほんとうの名前を思い出した。

その女の子もその瞬間、暗い目に輝きが宿り、彼女もほんとうの名前を思い出したようだ。

すると二人はみるみるうちにその沼を抜け出すことができた。

そして、その沼はどんどんきれいになっていき、おりひめとひこぼしが感謝をするたびに

星が瞬くようになった。

その沼はのちに天の川と呼ばれるようになりました。

 

わたしたちは天の川の近くで作業をしています。

 

「障がい者就労施設 いまここテラス」

 

By いまここメンバー

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